アフタヌーンティーについて その2 サンドイッチの具について | 大磯珈琲庵 コーヒー豆通販ページ 世界中から厳選されたコーヒー豆13種類を自家焙煎でお届けします

 

2018/04/10 23:19

なぜサンドイッチの具はキュウリなのか?


アフタヌーンティの食べ物というと、スコーン、サンドイッチペイストリー(ケーキ)といった感じですが、このサンドイッチ、中身がキュウリだけ、というのが、ローティー伝統のスタイルなんですね。


え、ハムとかないの?と思ってしまいますが、サンドイッチの具でキュウリだけというのは、アフタヌーンティが始まった当時、新鮮なキュウリがとても貴重だったこと、上流階級の身分では労働の必要がなく、カロリーの高いものを食べる必要がないと主張するためにキュウリを食べたという説。

または、農場を所有し労働者をたくさん雇い、貴重品であったキュウリを収穫できる地位のあるものであるということを主張するために食べたなど、諸説あり、それぞれ一つ一つが正しいのだと思います。



またアフタヌーンティの定番として有名なスコーンは、単に小麦粉をミルクで練って焼いただけの非常にシンプルなもので、ひとことで言えばほぼ粉だけ。

覚悟して食べないと口の中がパッサパサになってしまい、のどに詰まらないように気を付けないといけません。

これはジャムやクロテッドクリーム(バタークリームのようなもの)を付けて食べるのですが、パサパサであればあるほどちゃんとしたスコーンとされているようで、果たしてこれっておいしいのか?という疑問もあり、私なんかは、実はちょっと苦手です。。

最近はやわらかいスコーンもあったりして、だいぶ変わってきてるようなのですが、私はスコーン初体験で窒息しそうになった経験があり、いまだに苦手感がぬぐえないのです。 

また順番としてペイストリー、ケーキは甘いものなので最後に食すのがマナー、とされていますが、実際には楽しむ事が大事、とあまり細かく言われないところが多いようです。



リッツのアフタヌーンティー


アフタヌーンティが有名なのは、ロンドンのホテル ザ・リッツですがこのザ・リッツと、このブログの前のポストにも出てきた、六本木にもあるリッツカールトンは、まったく別のホテルだというのもあまり知られていないかもしれません。


ザ・リッツはロンドンにあるイギリス王室御用達の老舗ホテルで、リッツカールトンはアメリカボストンが発祥のホテルチェーンです。 

ロンドンのザ・リッツのパームコートというレストランのアフタヌーンティは非常に人気で、また世界一ドレスコードの厳しいホテルと言われるリッツでは常に、

「Coats required for gentlemen」『紳士はジャケット着用のこと』


とされています。ちょっと廊下を歩くのでもネクタイを締めていないといけないわけです。

ここでも先ほどの昼ごはんのことをディナーというのに似て、スーツのジャケットのことをCoatというのです。コートといわれたら、ジャケットの上に着るものと思ってしまいますよね。でも、

Gentlemen wear coats, potatoes wear jackets. (紳士はコートを着る。イモはジャケットを着る)

という厳しい人もいて、厳格にジャケットとは言わないのです。ほんとイギリスは言葉と服装がいろいろややこしいのです。(ジャケットポテトという皮付きのイモ料理にちなんでいる)

でも服装やマナーを守って暮らすと異邦人でもしっかりと受け入れてくれるのがイギリスの良いところ。

Manner maketh the man(礼儀作法が人格を作る。スティングのイングリッシュマン イン ニューヨークの歌詞にも出てくる)という言葉もあり、ティーも是非決め込んで行くといろいろな事が学べてとても楽しいひと時になります。



イギリスにとってティーとは。

産業革命で国が豊かになった反面、大都市病ともいえる反動にも苦しめられたロンドンなどの都市部は、スラム街が形成され、ジンによるアルコール中毒が蔓延するようになりました。 

少ない量で酩酊できるジンは当時社会悪とされ、ジンのレシートを持っていたというだけで結婚が破談になったという話もあったようです。

そのジンから労働者を遠ざけるために紅茶の摂取が奨励されたことや、茶税の減額などもあり、当初上流社会だけであった紅茶のたしなみも次第に大衆化し、紅茶の消費量は増えていきました。

そして当時、中国(清)からの輸入に頼っていた茶の葉での莫大な貿易赤字を埋めるため、イギリスはインドで産出されたアヘンを大量に清へ輸出、これがのちにアヘン戦争の原因となったり、

セイロン(スリランカ)にお茶を生産するために強制的に移住させられてきた、インドのタミール人によるスリランカ国内での内戦が終結したのはごく最近のことであったり、紅茶をめぐる世界はとてもアフタヌーンティの優雅さとは裏腹なところがあるのも事実なのです。


長くなりましたがイギリスの紅茶とアフタヌーンティーについてでした。下書きを人に見せたらコーヒー屋じゃないの?といわれたので今度はコーヒーについて書きますね。

なぜイギリスはコーヒーじゃなくて紅茶なのか?



  • Home
  • About
  • Blog